タダシ☆タナカ氏いのうえ版Tommy評
またまた間隔があいてしまいました。いのうえ版TOMMYの大阪公演も終わってしまいましたね。
3月末に以前のトミーアカデミーからの会員であるタナカさんから投稿をいただいていたのですが、未掲載でしたのでここに紹介させていただきます。私は次回からは現職の専門分野であるトミーに使われた音響システムについて記していきたいと思っています。
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映画Tommyが公開されたのは、高校2年の春休みだった。その大音量と衝撃の内容に、誰もが言葉失っていた。カルチャーショックという用語は、時にはコメントすることすら出来ないということでもあることを知った。そしてボクは、そのまま3回続けて観て帰った。それから2日後も、また同じことをした。それから翌週にも、またその儀式を繰り返した。ボクの住んでいた大阪は、東京と並んで唯一QS方式で上映された映画館だったが、予告編がダイアナ・ロス主演の「マホガニー物語」で、続けて一日を映画館で過ごす場合は、必ず予告編も付き合うことになり、それだけが苦痛だった思い出がある。後日談では、多分10年以上たってから「マホガニー物語」を楽しめたし、ダイアナ・ロスも好きになった。だけどTommy公開時点では、単に予告編はうざいだけだったのだ。
自己啓発の物語である映画Tommyが、ボクの人生を変えた。それはまた、The Whoとの出会いでもあり、自分は大学卒業後ニューヨークに移り住んでいた。82年、まだMTVはスタートしてなくて、ラジオの影響力が絶大だった時代である。The Who最後の 北米ツアーは、自分をさらにあらゆるレベルで「ロック道」に感化させた。このときのレポートはRockin' Onに投稿して採用されている。それからも、世界最強のロックンロール・バ ンドThe Whoのステージをアチコチで堪能した。一夜限りにてRadio City Music Hallで行われたTommy再現ステージは、ダフ屋経由の入手で確か300ドルほどかかった記憶がある。
このミニツアーの模様は、フィル・コリンズやビリー・アイドルら豪華ゲスト陣が出演するLA公演版がDVDで残されているが、逆に贅肉を剥ぎ取ったNY版の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。京都での大学時代から、未だ友情が続く小沢さん主催の「Tommy Academy」なる同人誌のメンバーだった。ロックオペラTommyで人生の階段を 踏み誤った会員たちが集結していた。小沢さんは「Tommy's Holiday Camp」で使われたTシャツを復刻してくれていたし、それは大切にニューヨークにも持ってきていた。Radio Cityでの公演で、皮ジャン内に誇らしげ にかのTシャツを着て行ったら、「どこで手に入れたんだ」と呼び止められた。「日本で作ったものなんだ」− Tommyバカを続けて良かった、報われたと感じたものだ。
舞台版といえば、ケン・ラッセル監督自身がTommyを知るきっかけになる、オーケストラ版というか、ロッド・スチュアートまでが村の青年役で出ているロンドン公演が有名だが、マンハッタン在住時代のボクが、サンフランシスコ近郊の実験シアターで、ダフ・マカノブがいわゆる単に歌うだけでない、物語を伴った舞台版を制作したとの話題を、CNNのニュースで観たときは異常に興奮した。それから1年半ほどして、かの舞台は本当にBroadwayに上陸した。予想に反して初日は、満員札止めではなかった。自分の席の5列後ろには、当時同じくマンハッタン在住だったピート本人も来ていた。当然この舞台版も、それから4〜5回はみた。ウチ一回は、またもピートが客席にいた。自分はサインをもらったりすることに興味がないタイプだったが、ビーコン・シアターで「サイケデェリクト」を上演したあと、最近になって閉鎖された64丁目のタワーレコードでサイン会があり、わざわざ日本から持ってきていた「馬の首」の邦訳版に直筆サインも貰った。「あなたのせいで人生が変わりました」と言ったら、「ひえ〜、俺もこの日本版持っているよ」と答えてくれた。
17年のアメリカ生活から、ボクは今東京に潜伏している。Broadway版という触れ込みで昨年上演されたTommyもまた、わざわざ初日のチケットまで購入したのだが、演出はまた別バージョンだった。左右に電光掲示板があり、字幕が流れる仕組みは気に入ったけど、正直中身の印象は薄い。何度も何度も行くことを繰り返すはずが、こちらは初日に行ったきりだった。
いのうえ版Tommyは、自分の好きなRollyが出ているということもあり、引越し公演版より期待させるものがあったし、それは満たされたと思う。日生劇場はフリーの曲やモット・ザ・フープルの「メンフェイスからの道」など70年代ロックがBGMが流れ、それがフーにつながり幕が開いた。これまで観たどのバージョンよりも、ケン・ラッセル監督の映画版に忠実だったのがいのうえ版である。前半のアニメによる時代背景とウォーカー一家の説明もまた、過去の演劇舞台中もっともよく出来ていた。
日本語に無理があることは、最初から誰もがわかっている制約になる。これぞ三重苦の極みであろう。実際、湯川れい子が担当した言葉選びには、自分のようなマニアには納得できない箇所が多々あるだけでなく、実際のステージでは、そもそもなにを言っているのかさっぱりわからない。日本語がいかにロックに向かない言語であるかを割り引いても、日経新聞夕刊の演劇評は星2つの辛口採点で、「一部の出演者は歌唱力を磨いて」と、ズバリ問題点を指摘されていた。母親役アン・マーグレットの熱演と比べられるのはかわいそうなんだが、ボロボロだった高岡早紀はミスキャストだったと断罪するしかない。父親役も、映画やアメリカ版が、かっぷくがいいか、あるいは背が高い存在感のある役者を起用していたのに、今回の韓国人俳優はあまりに特徴がなく、歌声にもドスが効いてなくでがっかりだ。主演の中川晃教は、難しい役をそつなくこなした印象こそあるが、上半身裸の鹿賀丈史がジーザス・クライスト・スーパースターを初演したときのインパクトには遠く及ばない。
いとこのケビン役と、ピンボール王をもこなしたRollyの存在感は、日本版のみのオリジナルということになる。ともあれ、Tommyのメッセージが、制作された当初よりも、あとになって万人に浸透している光景が誇らしい。30数年後に外国語舞台版までプロデュースされているのだ。ボクが「ロックを聞くことは正しい」とのメッセージにより覚醒した原体験が、こうして次の世代に受け継がれていく。
神であるピートに「考え方を学び(From you I get opinions)、話すべきことを知った(From You I get the story)」。こんなロック文化との遭遇エピソードを織り交ぜ、 プロレス格闘技の歴史を紐解いたのが『マット界の黙示録☆真正文化史』である。ぜひ読んでみて下さい。
2007.04.30 | Comments(1) | Trackback(0) | 未分類
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2007-04-30 月 02:13:55 | URL | TOMMYbyROGER #- [ 編集]
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映画「トミー」日本公開をリアルタイムで体験し、ロックとの出会いだけでなく、その後の人生がこの映画によって決定されてしまった。日本では常にマイナーな存在のザ・フーだけれど、遂にブロードウエイミュージカル版まで日本実現して感慨一入です。
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